小学生に算数を教える時に一番大事なことは、子ども一人ひとりの「思考感覚」に寄り添うことです。
算数を教えていて、子どもが「わからない」となったとき、
その原因は、単純な知識不足や計算力のなさなどではなく、先生の解き方と自分の感覚のズレによる軋轢によってパニックになっていることが多いです。
そうならないためには、その子特有の「数的感覚」や「空間センス」を教える側がまずはきちんと把握しておくことが必要です。その前提を踏んでいて初めて、その子に合った形で教えることができるわけです。
これは、授業に入る前の時点で子どもの思考回路をいわば「診断」した後でしか、それを処方する技術段階には入れないだろう、というあまりにあたり前のことです。
しかしながら、普通の塾とかでこのプロセスを踏んで教えてる先生ってほとんど見たことありません、というか進学塾の集団授業であれば時間的にそういう進め方は土台無理なわけです。
でも、これって、病院へ行ったとき、
「診察もしないでいきなり注射すんなよっ!」
て話なわけで、そんな医者には二度と誰もかかろうとしないわけで。
なにせへたすると即命に関わりかねないですからね。
それとひきかえ、塾の授業とかで、いきなり公式を覚えさせられても、通り一遍の解答しかついていない宿題プリントをさせられても、命に別状はないわけで、まあ、がまんできてしまう、がまんしてしまう、ということになります。
真面目な子ほどこのがまんを続けます。
そして、子どもが自分の「数的バランス感覚」と異なる公式や解法を浴びせられ続けると・・・どうなってしまうかは書くまでもないと思います。
そうならないために、教える側は生徒一人ひとりの「思考感覚」と対峙することを厭わず、できる限り個別にカスタマイズした教え方をしないといけないのです。
小学生に算数を教えるときに大事なことは、問診をしっかり行ってその頭の中を前もってきちんと理解してあげた上で、その子の「感覚に合った解法」を提示して進めていくということなのです。